犬神家の一族
今まで映画紹介は洋モノのみだったゆえ、これからはしっとりドロドロの日本映画といこう。
「犬神家の一族」
昭和22年、信州は那須湖畔、犬神財閥の創始者であるところの犬神佐兵衛は、81歳の波乱に満ちた一生を終えた。
一族全員がそろった時に公開される、という遺言状を残して・・・
そして昭和24年、戦争で生死不明だった佐兵衛の孫、佐清が復員、との知らせが飛び込み、一族はそろったはずだった。
しかし松子婦人が「息子の佐清」と言い張る男は、奇妙なゴムマスクをかぶった怪人物だった・・・
ああ、何と複雑怪奇な遺言状であることか。
莫大な財産や経営権を、それぞれ母親が違う三人の娘、松子、竹子、梅子にもその婿養子たちにも相続させない。
相続するのは佐兵衛恩人の孫であるところの野々宮珠代。ただし、松子の息子の佐清、竹子の息子佐武、梅子の息子佐智の三人のうち、いずれか一人と結婚する、との条件つきで。
つまり犬神家の莫大な財産と事業は、すべて珠代の一顰一笑によって決まるのだ。
仮面の男の正体は!秘められた佐兵衛の過去とは!野々宮珠代の思いとは!
ご存知金田一耕介が、犬神家に伝えられし「斧琴菊」の呪いにせまるぅ!
さてネタバレになるが・・・・(まだ観ていない人は、ここから先は読まないでね)。
珠代と結ばれ、色と権力の両方をつかむべくライバルを殺すのは犯行目的として当然ながら、もう一つの不穏分子がある。佐兵衛の隠し子である、青沼静馬だ。
佐兵衛は娘達が結婚するような歳になってから、工場の女工であった青沼菊乃を猛烈に愛した。松竹梅三姉妹よりも若い小娘を。そして生まれたのが静馬。静馬を溺愛する佐兵衛は、犬神家の三種の家宝であり相続権をも意味する「斧、琴、菊」を生まれて間もない彼に与えてしまったから大変だ。もともと父親に愛されず鬱屈し、姉妹同士いがみ合って成長してきた松竹梅三姉妹もこのときばかりは団結、菊乃のわび住まいに乗り込んで菊乃を裸にひんむき、箒でぶったたくわ水ぶっかけるわ、挙句赤ん坊の静馬の尻に焼け火箸あてるわ・・・
「斧、琴、菊」を取り返し、意気揚々と帰りかける松竹梅三姉妹の背に、泣きわめく菊乃はなげつける。
「いつか斧 琴 菊で お前達を呪ってやる!お前らに良き事聞かせておけるか!」
以来20数年、青沼母子の消息はようとして知れない。青沼静馬は、生きていれば佐清と同い年なのだ・・・
さて斧マニアとして斧の話題。
斧・琴・菊は確かに犬神三姉妹に報いた。
竹子の息子、佐武は短刀で刺殺されたのち、首を刎ねられて菊人形の首と挿げ替えられ。
梅子の息子、佐智はロープで絞殺されたのち、なぜか琴の弦を首に巻かれ。
そして松子。スケキヨは・・・
斧で頭を割られ、湖のそこに逆さに遺体を突き立てられていた。湖畔から突き出す二本の足!
遺体を湖底から引き抜いた「よし、わかった!」の立花警部は「斧で頭割られてるよ!」と叫んで呻いたのだった。
確かに斧はスケキヨに報いた。使われたのは蔵の中のガラクタ道具の中にあった手斧だった。
しかし・・・
斧を使ったのは、あくまで映画の演出なのである。原作では、「スケキヨ」の遺体をさかさまにして、その状態の上半分を水で隠すことによって「ヨキ」を表現したのであった。
この事件が「斧琴菊」の呪いに則って行われているのでは、の証言により、屋敷内の斧や鉈のたぐいは処分されていた。斧を使えなかった原作版。
しかし映像化するにあたって斧で殺さないのでは面白くない!
かくてスケキヨ?はゴムマスクごと、手斧で頭カチ割られて殺された。
めでたしめでたし。
(スケキヨは何故漢字で書かないか?それは・・・)
映画版では、松子奥様の縁起が重厚で圧倒的な75年版が最高!




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