和式の斧の刃のスジ
世界に冠たる刃物の国、日本、森林資源に恵まれ世界有数の建築文化を誇った日本。
鍛冶屋が打ち鍛え、樵が操って大木を倒す日本の斧には、上の写真のごとく刃の側面に
「スジ」が刻まれている。
片側に三本、もう片側に四本。
手斧でも薪割り斧でも、伐採用の斧でも、丸太を削って角材を仕上げるハツリ斧でも、金太郎さんのマサカリでも、スケキヨの頭をカチ割ったヨキでも、すべてに共通して刻まれるスジ。
このスジにはいかなる意味があるのであろうか
木のヤニを抜き、木の肌に斧の刃が密着することを防いで作業の効率化を図る、という意味から、との説もあるがこれは誤りだろう。
刃に筋のない西洋斧でも、全く操作に問題は無い。作業の効率は切れ味と、柄と刃のバランス、そして個人の力量による。
実際のところ、斧の刃の筋は「信仰」によってつけられたものだ。
深い山中での、孤独な伐採作業、力を込めて重い斧を振るう。傾いた木を除けそこねたら、一巻の終わり。呼べど叫べど、助けに来るものとていない。
このような作業では、人は自然と信心深くなる。
斧の刃の筋は、樵の作業を見守る山の神への信仰ゆえの産物である。
片側に3本。もう片方に4本。大木が倒れてきても「身=3」を「よける=4ける」、という言葉遊び。あるいは3で「神酒」、4で「地と水、火と風」に礼儀をささげるとの意味をもつ、との説もある。
いずれにせよ、数百年を生きた大木の命を断ち、そして新たなる生命を吹き込み樵たちの想いが込められたふかーいスジなのだ。
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