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2011年7月19日 (火)

アメリカ斧の歴史 その4 西洋式のまさかり「ブロードアックス」

斧に関する基本的な疑問として上げられる、

斧とマサカリは何処がどう違うのか

しかしこの質問に対する回答は難しい。

「大型の斧をマサカリという」場合もあれば、「丸太の側面を削って角材作りに使う、『はつり斧』のことをマサカリという」例も見られるからだ。これら回答の食い違いは、地域、方言としての差に由来する。

薪割り専用の刃が分厚く歯渡りが狭い斧であっても「大きいからマサカリ」と呼ぶ地域があれば、「小さいけれど、刃渡りがあるからマサカリ」と称する地方など全国百家共鳴状態。

しかし標準語的に回答するならば、「まさかり」とは「丸太の側面を削って角材を作るときに使う、大型の斧」と説明すれば間違いにはならないだろう。

さて、日本語では「はつりよき」「刃広」そして「まさかり」と呼ばれる、「丸太の側面を削って材木を作るための、刃渡りが大きな斧」をさす英単語は唯一つ。直訳すれば「広い斧」になる

「Broad ax 」(ブロードアックス)である。

250pxbroadaxe

やはり日本においての用途と同じく、丸太からの角材削り出すなど建築において威力を発揮してきた。そもそも刃渡りは20センチ以上はあるゆえ、一振りで数十平方センチメートルの木肌をバッサリとそぎ落としてしまう。

Fig002

このブロードアックスをアメリカ大陸に持ち込んだのは、ドイツ人入植者である。彼らが持ち込んだブロードアックスは、その形から「The goose-wing broad axes」(ガチョウの翼型の斧)と呼ばれていた。東部のペンシルバニア州を嚆矢として、開拓の進展と共に北米大陸全土へと広まっていくのである。

下図 18世紀のガチョウの翼型斧

Fig016

中世ヨーロッパのガチョウの翼斧

Fig017

ところで、アメリカ式のまさかり「ブロードアックス」は「片刃」である。つまり刃がV字型なのではなく、日本の刺身包丁や鉈と同じく、r字の刃なのだ。片刃の刃物は木に対する食い込みがいいが、欠点がある。

「右利き」と「左利き」、使い手によって刃の向きを反対方向にしなければならない。つまり使い手を選ぶのだ。

そこで鍛冶屋は意外な工夫を凝らした。

柄を差し込む穴「ヒツ」を貫通型にして、どちらからも柄を差し込めるようにしておく。こうしておけば、買い手が自身の利き手を考えて調整してくれる。品物の少ない、人跡未踏の開拓地に合致した上手い考えではないか。

広いアメリカ大陸全土に伝わった、ブロードアックスは、それぞれの地方風土や産業に応じて進化を遂げていった。

18世紀 ペンシルバニア式

Fig018a

19世紀、ダグラス・ニューオルレアン式

Fig018b

20世紀、枕木削り用のブロードアックス

Fig018c

20世紀、カナダ式ブロードアックス

Fig018d

19世紀、船大工用のブロードアックス

Fig018e

製材所も材木商人もいない深い森の中、樵や開拓民たちは斧一本で木を伐り倒し、荒々しい丸太の側面を削りあげて柱や梁、板を作り上げ、家を立ち上げてきた。

開発が進み、製材所の大鋸で引き割られた木材や板が入手できるようになっても、その用途は失われていない。現在においても、森好きの好事家が「ログハウス」を造り上げる現場ではブロードアックスがまま見られる。その巨大な刃の大きな斧を手にしたログビルダー達が丸太にまたがり、手際よく側面を削り落として角材に加工していくのだ。

ブロードアックスは、人が製鉄技術を手にしたのちの2000年来に渡り使い続けられている歴史のある道具でなのであーる。

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