アメリカ斧の歴史 その2 「ヨーロッパ斧がアメリカ斧に進化したとき」
15世紀後半に西洋人によって再度「発見」されたアメリカ大陸。
それから2世紀のうちに、開拓者精神に溢れなおかつ貪欲な白人は広大な大陸全土に分け入った。しかし彼らの目の前に広がるのは、先住民の石器しか知らない原始の大森林である。ヨーロッパから持ち込んだ斧は、いわば管理されたたおやかな森林を相手にするのがせいぜいの「優男」に他ならない。こんな斧には、巨木の伐採は荷が重過ぎる。
かくて、開拓民は斧の「肉体改造」を始める。薄くて細長かった刃を、重く、厚く鍛えなおす。細くて直線的だった柄を、曲線を描いた柄に作りかえる。その適格な改良は予想外に斧の威力を高めた。武骨な刃は巨木の幹に楽々と食い込み、なおかつ「曲線柄」は腕に伝わる衝撃を分散してくれる。こうして完成された粗野で武骨なアメリカ斧は、一説によればそれまでのヨーロッパ斧の1.5倍の威力があるという。
新大陸で新たな武器を手に入れた白人開拓者は、西へ西へと馬車を進め、森を開き、沃野に変えていく。
その一方で幾多の先住民族が銃器や伝染病、そして鉄器に倒れていったのだろう。インディアンが馬や鉄器、酒の代わりに払った代償はあまりにも大きかった。
かくて、全土が白人支配化に置かれたアメリカ。しかしアメリカは広い。それぞれの地方で気候が異なれば生える木も異なり、斧の用途も細分化される。
各地の村落で実直に仕事をこなしていた鍛冶職人は、顧客の希望にこたえてその地における最良の刃型を生み出していく。
広大な国土と大森林を舞台に、斧を数十通りにも進化させたアメリカ。
ホラー映画で気持ちいいくらいに斧を用いてくれるアメリカ。
トマホークミサイルで世界を一方を支配するアメリカ。
まさに斧の強大国と言えよう。
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