斧でぶった切りにして料理する「まさかりかぼちゃ」
食べ物を料理する際は、包丁で刻むものだ。包丁でなければナイフで刻むものだ。丁寧にサクサクと。
しかし斧でぶった切りにして料理する素材もあるのだ。牛や豚を屠殺するのではない。野菜を切るために。
その、あわれ斧でぶった切りにされるのが知る人ぞ知る北海道の郷土野菜、「まさかりかぼちゃ」。
北米原産の野菜、南瓜は世界各国に広まるにつれて様々な品種を生み出した。日本野菜として定着したのが京料理でお出汁で上品に煮込む「和南瓜」。菊の花にも似た、深い縦方向の皺を等間隔に刻むものだ。ドテ南瓜の悪口をも生み出し、冬至の南瓜汁粉にも採用されるほど江戸庶民に広まった南瓜に、明治時代北米産の品種が新たに広まった。
それが、北米産のハッバード種だ。それまでの和南瓜とは異なり、溝が浅い。そして皮が非常に硬い。その中でもラグビーボール型になる品種のものはとにかく皮が硬く、料理しようにも普通の包丁では傷すらつかない。こんな南瓜をどうやって食う?
包丁で切れないならマサカリでぶち割るしかない。それでついた名が「まさかりかぼちゃ」。
硬い皮をぶち割りさえすれば後は簡単だ。塩茹でにすればいい。煮あがれば芋のようにホクホク。これを米の飯代わりに喰らいついた、開拓時代の北海道。冷涼な気候にも強いこの南瓜は、芋とともに開拓民の腹を満たした。いくら喰らいついたとて硬い皮には食べきれない。その皮は薪ストーブに乗せて焼く。さすがに焼いても皮は食えないが、皮にこびりついた食べ残しの実が上手い具合に焼けてくれる。
焼けた皮に喰らいついて、こびりついた実をあさる。一個で二度美味しいまさかりかぼちゃ。
栗カボチャやえびすカボチャ、いまのスーパーに並ぶ西洋カボチャの近縁であるカボチャだが、昨今では前記のカボチャに押されて栽培面積もめっぽう減った。
それを嘆いたのが、札幌市郊外に昭和58年オープンした野外博物館、「北海道開拓の村」だった。
「開拓時代の畑を再現したいので『まさかりかぼちゃ』の種があったら寄贈してください」
思想的にはかなり問題がある某地方紙を媒体とした呼びかけに北海道各地から種が郵送され、めでたくイナキビや蕎麦、粟に稗とともに開拓時代の畑に撒かれた、まさかりかぼちゃ。
秋にはラグビーボール型のかたーい実を結び、恒例の秋祭りにて手斧で割られてゆでられ、観覧者に振舞われた。20年以上たった今でも変わらない。
北海道の開拓をささえた、まさかりかぼちゃ。
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