木こりとお茶漬け
炊き立てのホカホカご飯も、一晩おけばボソボソの冷やご飯。
「冷えた飯は不味い」は米食民族の共通事項である。
日本でも「冷や飯食い」は集団の中で冷遇される意味を持つが、
中国韓国ともなれば、「冷や飯食い」は「臭い飯を食う」と同義語らしい。
かの国では、日本から伝わった海苔巻寿司ですら温かい飯で作るとか。
ともかく、冷えた飯は不味い。
東アジアで冷えた飯を我慢して食うのは日本人くらいらしい。
さて、冷えた昨夜の飯をうまく食う法の一つが「お茶漬け」。
ガビガビに固まった飯でも煮えたぎるほうじ茶をかければハラリとほぐれ、
喉にサラサラと流し込める。まさにお茶漬けサラサラ。
梅干しか刻んだ高菜でも載せればなお美味い。
腹にたやすく収まり、水分も補給できると来れば二日酔いの朝にはまさに天上の滋味だろう。
しかしそんな恩恵にあずかれない商売がある。
それが「木こり」。
木こりだけではない。マタギに鉱山掘り、あるいは牛方馬方。
とにかく、山中で危険な肉体労働に従事する者はみなお茶漬けや汁かけ飯が厳禁だったということだ。
理由は?
「仕事に『味噌をつける』から」。
何ともハァ?な理由だと言わざるを得ない。
「お茶漬けを掻き込めば消化が悪く、仕事に差し支えるから」などと
無理やり医学的に解釈する向きもあるが、
サラサラ掻き込めるお茶漬けは消化が良くてむしろ腹が減る。
しかし、一瞬の風向きの迷いから倒れる大木に押し潰される木こり、
手負いの獲物に反撃されて絶命する危険をはらむマタギ
山賊に追われ、悪路に道を踏み外す牛方
空調のきいたオフィスでパソコンをカタカタ言わせていればいい人間には想像もつかない、
真剣なる「ゲン担ぎ」が存在するのだろう。
「茶漬けを食うのは縁起が悪い」の迷信は、「山子」と呼ばれた北海道の木こりから
秋田のマタギ、民俗ライターの遠藤ケイがフィールドとした秩父山地、
そして中国地方、さらには四国の山岳地帯にまで伝承され、
その分布地域は幅広い。
日田や飫肥のような九州の林産地でも伝承されているかは未確認だが。
しかし…
米粒が喉をサラサラ撫でさする感触を味わえぬとは、
因果な運命ではないか。
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