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書籍・雑誌

2022年6月19日 (日)

斧マニアが読み解く『ゴールデンカムイ』

さる4月末にめでたく大団円?を迎えたマンガ
ゴールデンカムイ

ラストシーンの「アイヌと和人の協力で文化が護られた」
発現は微妙に批評フンプンらしい。

だがゴールデンカムイはあくまでもヘンタイが狂喜乱舞する活劇漫画
社会的なものを求めたいなら、別の作者の教育マンガを探るべきであろう

さて、ゴールデンカムイは集英社のマンガ
集英社といえば『ジョジョの奇妙な冒険

作者の荒木飛呂彦は、著書『荒木飛呂彦の漫画術』でこう語る


 

「「どんな世界にも、マニアがいる。
おかしな絵を描けばツっこまれてしまう
」」

それをネタに『斧マニアとしてのジョジョの奇妙な冒険』を書いたのはもう7年も前
http://isikari.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/post-b4eb.html

このたび、ゴールデンカムイがラストを迎えた。
そこで、あえて語りたい
斧マニアから読み解くゴールデンカムイ

ゴールデンカムイのアイヌ文化監修者・中川裕氏は
アイヌ文化で読み解くゴールデンカムイ』を出版しているが


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ここでは「斧マニア」の立場で語ってみたい。

ゴールデンカムイは日本兵とアイヌ少女のコラボ。
なので登場する「グッズ」は
日本兵の軍装かアイヌの民具が中心である。
開拓時代の北海道が舞台なのだから、
もっと斧が活躍する場面があってもいいだろう。

最もアイヌ自身は製鉄技術を持たず、
刃物ほか鉄製品は和人からの受け売りだった。
彼らが使っていたムカㇻ(斧)は当然ながら和式の斧である。
刃が狭くて、脇に数本のスジが入ったの。

30巻にわたる連載の中で斧が活躍するのは
わずかに16巻の152話


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根室の漁場で働くヤン衆の中に、ヨボヨボの爺さまがいる。
アイヌでもないのに、着込んだ厚司がトレードマーク。
故郷も忘れ、名前も忘れ、数日に一度は寝ションベン。
完全に耄碌して、漁場の仲間にももて余されている。

 

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だが彼の正体は、実は生きていた土方歳三の知り合いで
伝説の人斬り
人斬り用一郎

伝説の人斬りだからこそ、敵も多い。

「池田孫七郎」なる人物を斬った咎で、
明治後期の今も追われる身だ。
その追手は根室くんだりの漁場にも押しかけてきた。

三人組の追手の獲物は、長ドスに手斧。
だが…

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だがここに登場する手斧は、微妙に残念だったりする

刃の側面のスジが無く、ヒツ(柄を通す穴)は楕円形。
それでいて「刃の形」は和斧同様の「細長い形」。

これでは和式か洋式かわかりようがない。

 

できればヘンタイ殺人鬼の辺見くん
3巻か4巻あたりで、ニシン漁場のヤン衆として働いていた彼。
鰊の搾りかす「粕玉」をコーフンしながら切り刻んでいた彼。

彼にはニシン漁場ではなく、
山中の造材飯場で働いていただきたかった。
ならば「このブログ」向きの活躍をしてくれたものを

 

2021年8月16日 (月)

ブキャナン・スミスの『斧本』

当ブログにおける、もう9年も昔の記事

『大都会・ニューヨークで斧が売れているらしい』
http://isikari.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-fde4.html

 

時は2009年、リーマンショック。

編集者のピーター・ブキャナン・スミスはスランプに陥っていた。
現状の打破を模索する中で、彼の唯一の友は「」。
実家に帰省しては薪割りに興じ、ついには「斧」の新たなブランドを立ち上げる。
現在ではアウトドア全般に手を広げ、「ベストメイド」としてマンハッタンにも店を構える。

 

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「ベストメイド」斧。
銀色のシャープな刃先
ポップにアレンジされた柄。
当時の価格は1本300ドル。
現在では日本でも3万円程度で買えるようだ。

さてリーマンショックどころではないコロナ禍の2021年
ピーター・ブキャナン・スミス氏は満を持して一冊の本を出版した。

曰く

『斧本』

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前書きに曰く

「本書は、筆者お気に入りの道具にあてた恋文だ」

自身の斧への愛やブランド立ち上げの経緯。
アウトドアブランド「ベストメイド斧」の詳細

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ポップな絵のペイント詳細に

そして、西洋斧の魅力の一つである
柄の色っぽい曲線美

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さらには「地方ごとの刃の形状」まで詳細に解説され

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斧マニアの知識欲を満たし、新たな読者を斧の沼へと引きずり込んでくれる。

もちろん斧の使用法

研ぎ方に錆抜き、
あるいは薪割りに丸太の切断

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などなど手入れから主だった使用テクニックまで
意識高い系の訳文、高尚かつ皮肉がこもったネチッコイ文体で
紹介してくれるのがなんとも心憎い。

だが肝心の「木の伐採方法」に関しては「逃げて」いた

その理由

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曰く

「この本を読んだ人が素人考えで伐採して、下敷きになられたら困る
チェンソーを使うか、まずはプロに連絡してほしい」

訴訟大国ならでわの予防策と言うべきか

 

 

 

 

 

2020年4月18日 (土)

乙霧村の七人

晴天が一転にわかに掻き曇り、雷鳴がとどろきかける
よくあるような、ホラー映画の冒頭部。

舞台は信州木曽地方の乙霧村
村の旧家・松浦家に筋肉質の大男が現れた。彼の名は戸川稔
親の代からの恨みがある松浦家に乗り込み、主人の貴一郎を呼び出す。

対応に現れた当家の嫁は台所で夕食の準備中。折あしく手には包丁を持ったままだった。
威嚇のため振り回した包丁が稔の肌を傷つけ…

逆上する稔。
ここから「見てきたような」殺戮劇が始まる
結果、5人が鏖殺(みなごろし、おうさつ)。

当事者に生存者はいない。
本当に見てきたような殺戮劇。

 

それから約20年。

舞台は東京の大学、文学サークル。
活動内容は、表向きは高尚な文学談義。だが、時には「心霊スポット巡り」のような下世話なイベントもするらしい。
そんなイベントに選ばれたのが、20年前に一家皆殺し事件が起こった乙霧村
一泊二日の旅路のメンバーは6人。
そのうち5人が三年生で、語り手の「私」は4年生。だが4年生であることを差し引いても、妙に語り口が老成している。
それがまた伏線でもあるのだが。

私以外のメンバーは5人
学内でも有数の美男と美女、物静かというより変人の女性、自身に自信がないのを払拭すべく、やたらとイニシアチブを取りたがる男。
典型的な「ホラー映画で殺されるティーン」の構成。
大抵は美男美女がセクロス中に殺され、イニシアチブを取りたがる男が殺人鬼を押しとどめている間に、変わり者の女が一人逃げ延びるストーリーとなるだろう。

さて同床異夢の一行を乗せた車が件の乙霧村にたどり着き、いまだ残る5人殺しの屋敷に足を踏み入れるや正体不明の大男に襲われる。
手には斧を持った男に…

というわけで、斧マニアブログのネタになる当作品。

この小説はトリックが主体ゆえ、斧の描写は細かくない。
殺人鬼?とされる大男が持つ斧は「長さ30センチほど」と描写もあっさり。
だから大型の斧ではない。しかも信州の田舎だからして洋斧である可能性は薄い。
恐らくはホームセンターで売られているような、こんなタイプの斧だろう

 

 

だが彼も何気に「斧マニア」であるとみえ、さびて転がっていたのをきれいに研ぎなおし「お守り」として肌身はなさず持っているとのことだ。
もっとも、斧に関する描写はそれのみ。
この小説はあくまで「トリック」を楽しむためのもの。
斧はあくまでも恐怖を演出するための小道具。

なぜ主人公の語り口が老成しているのか、それは…

 

2019年3月20日 (水)

両刃の斧

タイトルにつられて読んだ。
名古屋を舞台にした殺人事件
過去の怨念、出生の秘密!
だがあいにく、両刃の斧を持った殺人鬼が人を殺しまわる話ではない
こんなところでガッカリするのが斧マニア

2018年10月14日 (日)

父物語・斧

「チーズ味のポテトスナックを卵にからめてオムレツを作り
食後にわびしさのあまり滂沱の泪&鼻水のオッサン」

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ネット上では

「胸が痛くなる」
「独身で居たくない」

と辛い意味で話題の画像だ。

さて、このシーンは料理漫画蒼太包丁 銀座・板前修業日記」のワンシーンだ。

原作 末田雄一郎

作画 本庄敬


作画担当の本庄敬氏は、今を去る30年以上前の昭和末期
意外な漫画で作画を勤めていた。

『父物語 斧』 

昭和63年、少年サンデーにて連載

 

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このブログの相当昔の記事で紹介した、アウトドアライターの遠藤ケイ氏
彼の書籍にはこんな言葉がある。

斧という文字の中には父がいる

 

その言葉を、そのまま漫画にしたような作品だ。

ページを開くなり、いきなりマッチョで髭面のウホッなオッサンの図。
都会の安アパートで発泡酒にオムレツいただくスカ禿げオッサンとのなんたる違いか

 

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時代はまさに昭和末期
まだ青函トンネルが無く、飛行機での北海道旅行もマイナー。青函連絡船で行き来するしかない時代。

 

中学2年生の少年・和彦は父を訪ねて東京から北海道へ向かう。アウトドア好きの父は彼が小学生だったころ、なぜか妻子を捨てて北海道へ行ってしまった。

 

それから3年、和彦は父・和平を訪ねて北海道の山中へ向かう。

 

父は山中に山小屋を建て、狩などをして細々と生計を立てている。
なぜ、父は妻子を捨てて山中に籠ってしまったのか?

 

そこには男の決意(うわ、臭い!)があった。

 

以前よりアウトドア好きが高じて北海道に滞在していた父。そんな折、村では大熊による家畜の被害が勃発していた。村では熊退治のため、秋田よりマタギの一団を呼ぶ。(ちなみに秋田マタギの本場と言えば、医師とのトラブルで有名なあたり、まぁこれは関係ない)

 

ちょうどその会合の場にいた父も、村長から「猟師は多い方がいい」とのことでメンバーに加えられた。

 

それを良く思わないマタギたち。とくにシカリ(リーダー)のイナズマは和平を目の敵にする。

 

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古来から地元の狩人

 

都会からのハンター

 

よくある対立の構造。創作ものであれば大抵は都会モンが悪者扱いだが、そうならないのがこの作品の深さだ。

 

結果、マタギらを見返したい和平の抜け駆けがもとで狩りは失敗、熊は捕り逃がされ、一団の尊敬を集めていた老マタギ・善平は熊の爪に斃れる。

 

一団から罵倒される和平。
彼は決めた「あいつ(熊)を倒してやる!」こうして妻子を捨てて山中に籠ったのだった。

 

不愛想な父の山小屋で暮らす和彦。ポットン便所に辟易するなかでも、薪の割り方に火の焚き付け方と、自然の中で生きるすべを学んでいく。さらに散弾でカモ猟。中学生に銃を持たせるのはどうかと思うが、昭和だから気にしないように。

 

近隣にすむ少年と友情を結ぶ中で、ついにその日はやって来た。

 

和平を目の敵にする秋田マタギのリーダー・イナズマが山荘に 乗り込んできたのだ!
手始めの威圧行為に薪割り台を斧で一刀両断した上で和平の愛犬を足蹴にした上、和平を殴り倒し、揚句は止めに入った和彦まで殴る鬼畜ぶり。勢い余った和彦が銃を持ち出し、いったんは収まるものの…

 

ここで田舎者の恐ろしさ、いらやしさ。イナズマは悪い噂を立てて和平を村八分に追い込んでしまうのだ。警官ににらまれ銃弾も買えなくなった彼は、自分で鉛を融かして弾を作らざるを得ない。

 

そんな折、過去の怨念が湧きだした。イナズマが尊敬していた老マタギ・善平さんを屠った人食い熊が、4年の沈黙を破って現れたのだ

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

北海道の雄大な大自然を舞台にした野生動物との戦い。
冷静に読めば、「男のロマン」「男の決意」に染まった男は、いい家庭人にはなり得ない、かの「はだしのゲン」の父親のように…。

 

そんなマンガ。

 

さて、斧マニアとして『父物語 斧』を読んでみよう

 

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三巻の表紙。和彦が持っているのは、柄の先端が赤く、刃は青く塗られた西洋斧。

 

これはまさしくスゥエーデンのメーカー・アクドールの斧だ。

 

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舞台が北海道の田舎ながら、作中に登場する斧はすべて「直線柄」「刃にスジ入り」の和斧でではなく、曲線柄で柄にスジなしの西洋斧。

ここで父親が都会モンの他者であることは明確

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父親が住むのは古民家でもプレハブでもなく丸太小屋。
そして壁にかけられた斧。

 

これ、みんな「斧の中に父がいる」の名言?を残した遠藤ケイさんが実際に作り、実際に棲んでいた丸太小屋そのまま。

 

壁にかけられた自作柄の斧もまるでそのまま。


そしてドラム缶風呂



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ドラム缶を二つ重ねて湯舟と竃部分にする方式も、遠藤ケイさんの自作風呂そのまま。

 

世間一般ではドラム缶風呂といえば、縦に置いて下で火をたく方式を連想する。しかし遠藤ケイさんはその方式の風呂に漬かる際、何度も「ヘリで股間を打つ」悲劇に見舞われた。だから発想を変えて、二つ重ねる方式に変えたとか。

 

これなら股間を打つ心配もないし、カマド部が大きくなって熱効率も良い。

 

だが父親は山の中の一人暮らし。

 

どうやって山小屋を建造したのか?
それが疑問に残る漫画ではありますが、なかなか斧マニアの解説欲をくすぐる作品であります。

 

 

 

 

 

 

 

2015年6月24日 (水)

斧マニアとしての『ジョジョの奇妙な冒険』

管理人はこう見えて、ジョジョマニアであったりする。
昭和62年の第一部から欠かさずジャンプを読む。

当時の中学生ももはや中年。

しかし作者・荒木飛呂彦は吸血鬼なみに老けもせず
ルックスもイケメン。

さて、その荒木がこのたび出版した『荒木飛呂彦の漫画術』を読む。

漫画世界では独特のセリフ回しを旨とする作者だが、
本そのものはサラリとして実に読みやすい。

作者曰く
「新作は一ページ目で読ませなければ、読者はついてこない」
「ストーリは常に、ポジティブ思考に上り詰めなければならない」
「とにかく、リアリティを大切にしよう」

そして続ける。

「銃やバイクなど、人間が触れる機械や道具を描く際は特に精密に観察しなければならない。全体の形を理解していないと、人が握ったり乗ったりした際におかしくなってしまう。新人漫画家の作品を通読するとき、ガンマンが主人公なのに銃がおかしければ、もう読む気がしなくなる」

「どんな世界にも、マニアがいる。おかしな絵を描けばツっこまれてしまう」

そう。世の中には斧マニアもいる。

そんな斧マニアが読む『ジョジョの奇妙な冒険』

第一部から現行の第8部までの28年間。
斧が登場したのは、実際のところ数えるほどしかない。

第1部
16世紀、タルカスとプラフォードを斬首刑に処す場面の斧。

第2部
サンタナに取りつかれたドイツ軍人・シュトロハイムの脚をジョセフが切断する場面

第3部
若返りのスタンド能力を持つ敵キャラ・アレッシーが、ポルナレフと承太郎を襲う場面。

第4部、5部、6部は記憶にないか。

第7部、
スティールボールランでの敵キャラ・リンゴォの幼少時。丸太小屋の薪割り斧。

さて、これら斧のマニア的考察です。
いま手元に単行本がないので写真を写せないのが残念だが、

まず1部の斬首斧。
明らかに装飾してます。

当時のイングランドで使用されていた斧は、
もっと簡素なこんな形状。

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力のバランスが悪く、たとえ罪人の首の筋肉がガチガチに硬直していなくても失敗が多々あったそうな。

第2部。
メキシコの遺跡からよみがえったサンタナを軍事目的で研究しようとたくらむ。しかしサンタナは研究所から逃走したあげく部下の体内に潜り込み、研究所の一団を殲滅させる…
サンタナが陽光に弱いと知るシュトロハイムはドアを開けようとするが、サンタナの肉片がまとわりつき身動が取れない。シュトロハイムはジョセフに、壁にかかる斧で自身の脚を切断するよう頼むのだが…

あいにく画像なし。ただ、装飾用の斧ながらちゃんと刃がついていて、当面の目的は達成される。性格には相当問題があるジョセフも足の切断には罪悪感を感じる。その暗示か、あえて「擬音のみ」で切断の瞬間を表現する設定もいい。

その直後、さらに悲劇的な運命へと向かうのだが…

第3部
病気の母親を救うため、エジプトに潜伏する悪の総元締め・DIOを倒すべく旅を続ける老ジョセフと孫の承太郎、その他仲間たち。彼らの前にはあらゆる敵が襲い掛かる…

カイロ郊外の街で仲間のポルナレフと承太郎を襲うのは、「相手を若返らせる」能力を持つ小男・アレッシー。若返りの能力を持っているのならば金持ちの年寄相手に商売してボロ儲けができそうなものだが、彼の趣味は「相手を幼児にまで若返らせた上で、思いっきり虐待!」。

まずポルナレフが幼児化させられたあげく、逃げ込んだ家では斧で襲われる。この場面は、もちろん「シャイニング」のオマージュだ。

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そんなアレッシーの斧は、側面にきちんと「AX」と刻印されたもの。
身長160㎝ほどの彼の上着に収まるサイズだから、柄の長さは40㎝ほどか。
でも斧を仕込んだ服は、妙な皺やゆがみが出ようというもの。
…そこに突っ込むのは、さすがにヤボ。

承太郎までも幼児化させて一刀両断しようとした彼だが、結局「幼児の承太郎」にオラオラされてジ・エンド。第3部冒頭、幼児期は優等生だったはずの承太郎はまやかしだったのか…

第4部、5部は現代の日本やイタリアが舞台だから、
斧の出番はなし。

6部も然り。

さて第7部。
開拓時代のアメリカを舞台とした馬レース「スティール・ボール・ラン」。
主人公のジョニーとジャイロの前に立ちはだかる・大統領側の刺客・リンゴォ。
(顔立ちといい、スタンド名「マンダム」といい、あきらかに狙ってるな…)

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森の中の丸太小屋に生まれた彼は幼児期より皮膚病に悩み、そして何者かに家族を皆殺しにされるという悲惨な運命を背負っていた。

幼児期の彼の家を描いたひとコマ。
うなだれる彼の後ろには薪割り台があり、
そこに斧が突きたてられている。

斧の柄はもちろん、曲線柄!ではない。
直線柄であった。

これをいかに見るべきか。
もっとも、洋斧でも「薪割り斧」に限っては直線柄もありうるので、これで良しとすべきだろう。

 

どんなものにも、マニアはある。
斧マニアが語るジョジョの28年間であります。

2014年5月 7日 (水)

囲炉裏と薪火暮らしの本

世間には「薪ストーブ」を解説した本ならばいくらでもある。

数十万もする舶来物の鋳物ストーブ。2次燃焼を考えしつらえた構造。
最適な燃料は、ナラやクヌギのような広葉樹。
その辺の杉の葉なんぞもってのほか。

鉄板と耐熱ガラスに守られた箱の中では、炎がオーロラのように輝く。
そう、箱の中で。
ガラス越しにしかうかがえない炎では、炎を楽しめるとは言い切れない。

そこで、囲炉裏。

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縄文時代よりの歴史を刻む、日本最古の暖房&調理施設。
防火と煙の点で難があるが、炎を直に楽しめる、「火焚き職人」の本領だ。

その囲炉裏の使用方法を絵入りで1から説いた良書こそが『囲炉裏と薪火暮らしの本』である。

古民家に住む場合は別として、現代住宅に囲炉裏を設営する方法。
煙を排出する方法。
そして、実際に火を焚いて運営する方法。

薪をくべるには蓋を開けなければならない薪ストーブでは、
薪は火持ちがよい楢や樫がベスト。
蓋をあける手間が面倒だから。

しかし、開放式の囲炉裏では、薪をくべる手間が苦にならない。
火持ちのいい楢はともかく、杉の小枝でも何の問題もない。

しかし、はじけやすい薪は防火の観点からよろしくない。

そんな薪ストーブとの細かな違いから、
薪が放つ直火と煙を駆使した料理の数々。

さらに火箸や五徳、火吹き竹に十能、火消壺など
火の回りの小道具までもが楽しいイラストで紹介された良書。

西洋かぶれではない、新の日本の日の営みを学ぶのもオツだろう。

2014年2月11日 (火)

斧・熊・ロッキー山脈

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まずは表紙を見てほしい。
はろばろとした針葉樹林を望む人物の後ろ姿。
肩にはチェンソーを背負い、バックパックにはブラスキー(鍬斧)を差し込み、
そして片手にはシングルビットアックス。

山野の武器を手に作業ズボンをはいた姿は、一見華奢な若い男に見える。
しかしその正体は女性。
ティーン バイル。彼女の商売は小説家。
そして本業は国立公園内における遊歩道の整備作業員。
アメリカの俗語で言う「トレイルドッグ」である。

20年前、大学を卒業した彼女はふとしたことからこの仕事に入り込んだ。
そこには「アウトドア」「大自然とふれあう」などという甘っちょろい言葉はない。
ブルーカラーの汗臭い男どもに混ざった肉体労働だ。

最初は「自然と触れ合う」ことが目的でこの世界に入り込んだであろう彼女も、
ひと夏ふた冬と重ねるごとになじんでいった。

道端で黙々と草を刈り丸太を切断する彼女らの傍らを、能天気な観光客が通り過ぎる。
彼らがかける、見下した言葉。

「給料いくら?」
「強制労働なの?」

そんな言葉にもめげず歳を重ね、今では部下を束ねる立場になった彼女。

もちろん、彼女とてホワイトカラーの仕事を否定するものではない。
安定した収入、高収入。
それのどこがいけないのか。
いいではないか。

それでも、この仕事は何事にもかえがたい。
アル中患者や、微妙な立場のインディアン従業員とのぶつかり合いを繰り返しながら20数年。

現在、彼女は職場仲間と結ばれアラスカに住む。

さて彼女は、斧は何にも代えがたいツールだと誇る。
チェンソーならば、油が無ければ動かない。
しかし、斧はそれを持つ体力さえあれば、何処へでも持ち運べる。
チェンソーは5、6キロ。斧の重さは数分の一。

そんな彼女でも、初めて丸太を切断しようとしたときには
大根を切るように直角に振りおろし、弾かれるという屈辱をうけたというのがおかしい。

2013年8月10日 (土)

神去なぁなぁ日常

「舟を編む」で賞に躍り出た女流作家・三浦しをんが編んだ山林&林業&ファンタジー小説。

都会生まれ都会育ちの気ままなフリーター・勇気は、親戚らの企みにより「林業後継者実習生」として紀伊半島山間の山村・神去村に送り込まれてしまう。

世間と隔絶した村。信仰と因習が支配する村。

それでいて山林経営では何とか成功しつつもやはり過疎には悩む村。
しかしながら都会モンの勇気をよそ者と見なす村人。

ケータイを奪われ行動を監視され、逃亡のスキも得られないあわれなフリーターは、
ついに覚悟をきめつつも林業に飛び込んでいくわけだが…

舞い上がる花粉の中で花粉症に泣き、杉の梢で高所恐怖用に泣く。
夏になればダニにヒルで吸い付かれて絶叫する。

そんなヘタレ勇気に林業を叩きこむ先輩が、ヨキこと飯田与貴。
重量感と俊敏さを兼ね備えたマッチョな肉体で金髪タンパツ姿は
ヤンキー(もちろんアメリカ人ではないよ)にしか見えず、初対面の勇気はまずたじろぐ。

しかしヨキは山仕事の達人。いくら山村とはいえチェンソー全盛の山村にありながら
枝打ちから伐採まですべて斧一本でこなして仕舞う猛者。伐採では地形樹形にかかわらず思うままの方向に切り倒し、大木の梢にまで上り詰めては軽やかに枝を落とす。

はじめヨキを敬遠していた勇気だが、さすがに彼の技量には敬服せざるを得ない。

さて森につつまれ因習に支配された神去村は、神が去った地ながらいまだに「神隠し」の噂も絶えない。山を統べる神は荒ぶる神・オオヤマツミだという。その神に贄を捧げる48年ぶりの大祭が近づきつつあった。

梅雨時の草刈りに夏祭りを経て村の一員と認められつつあった勇気は、この祭りへの参加を許されるのだが…

「もののけ姫」や「トトロ」に山村・林業の現実を加味したうつつの世界を
今時の若者?の語り口で描いた現代的ファンタジー?小説。

林業不況の只中からみればハァ?的な描写も多々あろうが、
山仕事の手順や自然美、そして和やかながら濃厚な人間関係が丁寧に語られている。
信州諏訪の「御柱祭」に着想を得たと考えられる祭りの描写はまさに圧巻。
(しかしながら自然保護団体が読んだら発狂するかもしれんよ)

さて斧マニアの立場から読んだ「神去なぁなぁ日常」だが。

斧の使い手・ヨキの愛用する斧はもちろん和斧だろう。
ヨキ・コト・キクの和斧。しかも奥さんの名が「ミキ」だからして
脇に3本、反対に4本の刻みがあるオーソドックスなものに相違ない。

(残念ながら作中に詳しい描写は無かった。
作者&主人公はマニアでないからして)

しかし問題なのは、枝打ちにしろ伐採にしろすべての仕事を
すべて同一の斧でこなしているらしいところ。
枝打ちに伐採用の大振りな斧では手に余る。
伐採に枝打ち用の手斧では威力が足りない。

もっとそこのところを詳しく調べて描写してほしかったなぁ。
新庄や自然美の解説は優れていたのだからして。

さて先日。
この「神去なぁなぁ日常」が、「WOOD JOB」の名で映画化されると聞き及んだ。
勇気役は染谷将太 ヨキ役は伊藤英明。
悪魔の経典の美少年&サイコ教師がこんな場で再会とは恐ろしい。
ああ山林で猟奇教師に囚われた染谷の運命やいかに?

2012年4月 4日 (水)

シモの民俗誌「落とし紙以前」

民俗学の泰斗・柳田国男の名著に「木綿以前の事」がある。

軽くてあたたかく、そして安価な繊維・木綿が日本で普及したのは江戸時代。
では、それ以前の民衆はどんな衣料を着ていたのか…
それを歴史と民衆史の観点から解説した良著である。

それにインスピレーションを得たというわけでも無かろうが…

「落とし紙以前」なる面白い本を発見した。

お便所での後始末に柔らかいトイレットペーパーを用いるようになったのは、せいぜい昭和中期から。それ以前は、質の悪い紙。

しかしそれ以前は、紙ですら貴重品だった。
そんな時代、民衆は何で尻を拭っていたのか?

考古学的には、「籌木」(ちゅうぎ)がよく知られている。
奈良、平安時代のトイレの遺構を発掘すればかならず出土する、木の小片。
往時の都人は路上で便をたれたのち、この木片で尻の汚れを掻き落としていたのだった。

この籌木は、決して古代の遺物ではない。
森林資源が豊かな山村では、金を出さなければ手に入らない紙よりはるかに気安いものとして昭和初期まで使われていたとのことである。

名称は古代そのままにチュウギ、あるいは便を掻き取るから「カギン」。
材料は杉、ヒノキ、松、栗、クルミなど。いずれも軽くて割りやすい樹種である。これらを手ごろな大きさに切り、鉈で割裂いて作る。

大家族の家では一日に消費する数は相当なものだ。そのうえ、食物の大半が植物質、繊維質の物質だったゆえに便の回数も多くなる。そのため「割りやすくて、作りやすい」という理由だけで「ウルシ」の木でカギンをこしらえる場合もある。

しかしウルシ…
敏感な人になれば、木の下を通るだけでもカブレると評判のウルシ。

使ったが最後、肛門を中心に下半身全体がかぶれるという悲劇も多々あったという。

もちろん、しりぬぐいの用は籌木だけではない。

北日本ではフキ、沖縄ではユウナなど柔らかくて大きな葉。

トチノキ、ホオノキなど堅い葉を切断した断面。

藁の屑、縄、さらには乾燥させた水草。

農村でも山村でも、あるいは漁村でも、民衆は身近に入手できるあらゆる品を吟味し、その中で使いやすいものを尻拭いに用いたのでありました。

その歴史が垣間見られる良著、「落とし紙以前」。

ぜひ、お読みください。

落し紙以前

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