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書籍・雑誌

2015年6月24日 (水)

斧マニアとしての『ジョジョの奇妙な冒険』

管理人はこう見えて、ジョジョマニアであったりする。
昭和62年の第一部から欠かさずジャンプを読む。

当時の中学生ももはや中年。

しかし作者・荒木飛呂彦は吸血鬼なみに老けもせず
ルックスもイケメン。

さて、その荒木がこのたび出版した『荒木飛呂彦の漫画術』を読む。

漫画世界では独特のセリフ回しを旨とする作者だが、
本そのものはサラリとして実に読みやすい。

作者曰く
「新作は一ページ目で読ませなければ、読者はついてこない」
「ストーリは常に、ポジティブ思考に上り詰めなければならない」
「とにかく、リアリティを大切にしよう」

そして続ける。

「銃やバイクなど、人間が触れる機械や道具を描く際は特に精密に観察しなければならない。全体の形を理解していないと、人が握ったり乗ったりした際におかしくなってしまう。新人漫画家の作品を通読するとき、ガンマンが主人公なのに銃がおかしければ、もう読む気がしなくなる」

「どんな世界にも、マニアがいる。おかしな絵を描けばツっこまれてしまう」

そう。世の中には斧マニアもいる。

そんな斧マニアが読む『ジョジョの奇妙な冒険』

第一部から現行の第8部までの28年間。
斧が登場したのは、実際のところ数えるほどしかない。

第1部
16世紀、タルカスとプラフォードを斬首刑に処す場面の斧。

第2部
サンタナに取りつかれたドイツ軍人・シュトロハイムの脚をジョセフが切断する場面

第3部
若返りのスタンド能力を持つ敵キャラ・アレッシーが、シュトロハイムと承太郎を襲う場面。

第4部、5部、6部は記憶にないか。

第7部、
スティールボールランでの敵キャラ・リンゴォの幼少時。丸太小屋の薪割り斧。

さて、これら斧のマニア的考察です。
いま手元に単行本がないので写真を写せないのが残念だが、

まず1部の斬首斧。
明らかに装飾してます。

当時のイングランドで使用されていた斧は、
もっと簡素なこんな形状。

Images


力のバランスが悪く、たとえ罪人の首の筋肉がガチガチに硬直していなくても失敗が多々あったそうな。

第2部。
メキシコの遺跡からよみがえったサンタナを軍事目的で研究しようとたくらむ。しかしサンタナは研究所から逃走したあげく部下の体内に潜り込み、研究所の一団を殲滅させる…
サンタナが陽光に弱いと知るシュトロハイムはドアを開けようとするが、サンタナの肉片がまとわりつき身動が取れない。シュトロハイムはジョセフに、壁にかかる斧で自身の脚を切断するよう頼むのだが…

あいにく画像なし。ただ、装飾用の斧ながらちゃんと刃がついていて、当面の目的は達成される。性格には相当問題があるジョセフも足の切断には罪悪感を感じる。その暗示か、あえて「擬音のみ」で切断の瞬間を表現する設定もいい。

その直後、さらに悲劇的な運命へと向かうのだが…

第3部
病気の母親を救うため、エジプトに潜伏する悪の総元締め・DIOを倒すべく旅を続ける老ジョセフと孫の承太郎、その他仲間たち。彼らの前にはあらゆる敵が襲い掛かる…

カイロ郊外の街で仲間のポルナレフと承太郎を襲うのは、「相手を若返らせる」能力を持つ小男・アレッシー。若返りの能力を持っているのならば金持ちの年寄相手に商売してボロ儲けができそうなものだが、彼の趣味は「相手を幼児にまで若返らせた上で、思いっきり虐待!」。

まずポルナレフが幼児化させられたあげく、逃げ込んだ家では斧で襲われる。この場面は、もちろん「シャイニング」のオマージュだ。

Photo


そんなアレッシーの斧は、側面にきちんと「AX」と刻印されたもの。
身長160㎝ほどの彼の上着に収まるサイズだから、柄の長さは40㎝ほどか。
でも斧を仕込んだ服は、妙な皺やゆがみが出ようというもの。
…そこに突っ込むのは、さすがにヤボ。

承太郎までも幼児化させて一刀両断しようとした彼だが、結局「幼児の承太郎」にオラオラされてジ・エンド。第3部冒頭、幼児期は優等生だったはずの承太郎はまやかしだったのか…

第4部、5部は現代の日本やイタリアが舞台だから、
斧の出番はなし。

6部も然り。

さて第7部。
開拓時代のアメリカを舞台とした馬レース「スティール・ボール・ラン」。
主人公のジョニーとジャイロの前に立ちはだかる・大統領側の刺客・リンゴォ。
(顔立ちといい、スタンド名「マンダム」といい、あきらかに狙ってるな…)

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森の中の丸太小屋に生まれた彼は幼児期より皮膚病に悩み、そして何者かに家族を皆殺しにされるという悲惨な運命を背負っていた。

幼児期の彼の家を描いたひとコマ。
うなだれる彼の後ろには薪割り台があり、
そこに斧が突きたてられている。

斧の柄はもちろん、曲線柄!ではない。
直線柄であった。

これをいかに見るべきか。
もっとも、洋斧でも「薪割り斧」に限っては直線柄もありうるので、これで良しとすべきだろう。

 

どんなものにも、マニアはある。
斧マニアが語るジョジョの28年間であります。

2014年5月 7日 (水)

囲炉裏と薪火暮らしの本

世間には「薪ストーブ」を解説した本ならばいくらでもある。

数十万もする舶来物の鋳物ストーブ。2次燃焼を考えしつらえた構造。
最適な燃料は、ナラやクヌギのような広葉樹。
その辺の杉の葉なんぞもってのほか。

鉄板と耐熱ガラスに守られた箱の中では、炎がオーロラのように輝く。
そう、箱の中で。
ガラス越しにしかうかがえない炎では、炎を楽しめるとは言い切れない。

そこで、囲炉裏。

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縄文時代よりの歴史を刻む、日本最古の暖房&調理施設。
防火と煙の点で難があるが、炎を直に楽しめる、「火焚き職人」の本領だ。

その囲炉裏の使用方法を絵入りで1から説いた良書こそが『囲炉裏と薪火暮らしの本』である。

古民家に住む場合は別として、現代住宅に囲炉裏を設営する方法。
煙を排出する方法。
そして、実際に火を焚いて運営する方法。

薪をくべるには蓋を開けなければならない薪ストーブでは、
薪は火持ちがよい楢や樫がベスト。
蓋をあける手間が面倒だから。

しかし、開放式の囲炉裏では、薪をくべる手間が苦にならない。
火持ちのいい楢はともかく、杉の小枝でも何の問題もない。

しかし、はじけやすい薪は防火の観点からよろしくない。

そんな薪ストーブとの細かな違いから、
薪が放つ直火と煙を駆使した料理の数々。

さらに火箸や五徳、火吹き竹に十能、火消壺など
火の回りの小道具までもが楽しいイラストで紹介された良書。

西洋かぶれではない、新の日本の日の営みを学ぶのもオツだろう。

2014年2月11日 (火)

斧・熊・ロッキー山脈

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まずは表紙を見てほしい。
はろばろとした針葉樹林を望む人物の後ろ姿。
肩にはチェンソーを背負い、バックパックにはブラスキー(鍬斧)を差し込み、
そして片手にはシングルビットアックス。

山野の武器を手に作業ズボンをはいた姿は、一見華奢な若い男に見える。
しかしその正体は女性。
ティーン バイル。彼女の商売は小説家。
そして本業は国立公園内における遊歩道の整備作業員。
アメリカの俗語で言う「トレイルドッグ」である。

20年前、大学を卒業した彼女はふとしたことからこの仕事に入り込んだ。
そこには「アウトドア」「大自然とふれあう」などという甘っちょろい言葉はない。
ブルーカラーの汗臭い男どもに混ざった肉体労働だ。

最初は「自然と触れ合う」ことが目的でこの世界に入り込んだであろう彼女も、
ひと夏ふた冬と重ねるごとになじんでいった。

道端で黙々と草を刈り丸太を切断する彼女らの傍らを、能天気な観光客が通り過ぎる。
彼らがかける、見下した言葉。

「給料いくら?」
「強制労働なの?」

そんな言葉にもめげず歳を重ね、今では部下を束ねる立場になった彼女。

もちろん、彼女とてホワイトカラーの仕事を否定するものではない。
安定した収入、高収入。
それのどこがいけないのか。
いいではないか。

それでも、この仕事は何事にもかえがたい。
アル中患者や、微妙な立場のインディアン従業員とのぶつかり合いを繰り返しながら20数年。

現在、彼女は職場仲間と結ばれアラスカに住む。

さて彼女は、斧は何にも代えがたいツールだと誇る。
チェンソーならば、油が無ければ動かない。
しかし、斧はそれを持つ体力さえあれば、何処へでも持ち運べる。
チェンソーは5、6キロ。斧の重さは数分の一。

そんな彼女でも、初めて丸太を切断しようとしたときには
大根を切るように直角に振りおろし、弾かれるという屈辱をうけたというのがおかしい。

2013年8月10日 (土)

神去なぁなぁ日常

「舟を編む」で賞に躍り出た女流作家・三浦しをんが編んだ山林&林業&ファンタジー小説。

都会生まれ都会育ちの気ままなフリーター・勇気は、親戚らの企みにより「林業後継者実習生」として紀伊半島山間の山村・神去村に送り込まれてしまう。

世間と隔絶した村。信仰と因習が支配する村。

それでいて山林経営では何とか成功しつつもやはり過疎には悩む村。
しかしながら都会モンの勇気をよそ者と見なす村人。

ケータイを奪われ行動を監視され、逃亡のスキも得られないあわれなフリーターは、
ついに覚悟をきめつつも林業に飛び込んでいくわけだが…

舞い上がる花粉の中で花粉症に泣き、杉の梢で高所恐怖用に泣く。
夏になればダニにヒルで吸い付かれて絶叫する。

そんなヘタレ勇気に林業を叩きこむ先輩が、ヨキこと飯田与貴。
重量感と俊敏さを兼ね備えたマッチョな肉体で金髪タンパツ姿は
ヤンキー(もちろんアメリカ人ではないよ)にしか見えず、初対面の勇気はまずたじろぐ。

しかしヨキは山仕事の達人。いくら山村とはいえチェンソー全盛の山村にありながら
枝打ちから伐採まですべて斧一本でこなして仕舞う猛者。伐採では地形樹形にかかわらず思うままの方向に切り倒し、大木の梢にまで上り詰めては軽やかに枝を落とす。

はじめヨキを敬遠していた勇気だが、さすがに彼の技量には敬服せざるを得ない。

さて森につつまれ因習に支配された神去村は、神が去った地ながらいまだに「神隠し」の噂も絶えない。山を統べる神は荒ぶる神・オオヤマツミだという。その神に贄を捧げる48年ぶりの大祭が近づきつつあった。

梅雨時の草刈りに夏祭りを経て村の一員と認められつつあった勇気は、この祭りへの参加を許されるのだが…

「もののけ姫」や「トトロ」に山村・林業の現実を加味したうつつの世界を
今時の若者?の語り口で描いた現代的ファンタジー?小説。

林業不況の只中からみればハァ?的な描写も多々あろうが、
山仕事の手順や自然美、そして和やかながら濃厚な人間関係が丁寧に語られている。
信州諏訪の「御柱祭」に着想を得たと考えられる祭りの描写はまさに圧巻。
(しかしながら自然保護団体が読んだら発狂するかもしれんよ)

さて斧マニアの立場から読んだ「神去なぁなぁ日常」だが。

斧の使い手・ヨキの愛用する斧はもちろん和斧だろう。
ヨキ・コト・キクの和斧。しかも奥さんの名が「ミキ」だからして
脇に3本、反対に4本の刻みがあるオーソドックスなものに相違ない。

(残念ながら作中に詳しい描写は無かった。
作者&主人公はマニアでないからして)

しかし問題なのは、枝打ちにしろ伐採にしろすべての仕事を
すべて同一の斧でこなしているらしいところ。
枝打ちに伐採用の大振りな斧では手に余る。
伐採に枝打ち用の手斧では威力が足りない。

もっとそこのところを詳しく調べて描写してほしかったなぁ。
新庄や自然美の解説は優れていたのだからして。

さて先日。
この「神去なぁなぁ日常」が、「WOOD JOB」の名で映画化されると聞き及んだ。
勇気役は染谷将太 ヨキ役は伊藤英明。
悪魔の経典の美少年&サイコ教師がこんな場で再会とは恐ろしい。
ああ山林で猟奇教師に囚われた染谷の運命やいかに?

2012年4月 4日 (水)

シモの民俗誌「落とし紙以前」

民俗学の泰斗・柳田国男の名著に「木綿以前の事」がある。

軽くてあたたかく、そして安価な繊維・木綿が日本で普及したのは江戸時代。
では、それ以前の民衆はどんな衣料を着ていたのか…
それを歴史と民衆史の観点から解説した良著である。

それにインスピレーションを得たというわけでも無かろうが…

「落とし紙以前」なる面白い本を発見した。

お便所での後始末に柔らかいトイレットペーパーを用いるようになったのは、せいぜい昭和中期から。それ以前は、質の悪い紙。

しかしそれ以前は、紙ですら貴重品だった。
そんな時代、民衆は何で尻を拭っていたのか?

考古学的には、「籌木」(ちゅうぎ)がよく知られている。
奈良、平安時代のトイレの遺構を発掘すればかならず出土する、木の小片。
往時の都人は路上で便をたれたのち、この木片で尻の汚れを掻き落としていたのだった。

この籌木は、決して古代の遺物ではない。
森林資源が豊かな山村では、金を出さなければ手に入らない紙よりはるかに気安いものとして昭和初期まで使われていたとのことである。

名称は古代そのままにチュウギ、あるいは便を掻き取るから「カギン」。
材料は杉、ヒノキ、松、栗、クルミなど。いずれも軽くて割りやすい樹種である。これらを手ごろな大きさに切り、鉈で割裂いて作る。

大家族の家では一日に消費する数は相当なものだ。そのうえ、食物の大半が植物質、繊維質の物質だったゆえに便の回数も多くなる。そのため「割りやすくて、作りやすい」という理由だけで「ウルシ」の木でカギンをこしらえる場合もある。

しかしウルシ…
敏感な人になれば、木の下を通るだけでもカブレると評判のウルシ。

使ったが最後、肛門を中心に下半身全体がかぶれるという悲劇も多々あったという。

もちろん、しりぬぐいの用は籌木だけではない。

北日本ではフキ、沖縄ではユウナなど柔らかくて大きな葉。

トチノキ、ホオノキなど堅い葉を切断した断面。

藁の屑、縄、さらには乾燥させた水草。

農村でも山村でも、あるいは漁村でも、民衆は身近に入手できるあらゆる品を吟味し、その中で使いやすいものを尻拭いに用いたのでありました。

その歴史が垣間見られる良著、「落とし紙以前」。

ぜひ、お読みください。

落し紙以前

落し紙以前
価格:1,944円(税込、送料別)

2010年12月31日 (金)

父と息子の教科書

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昭和末期。

私がまだ小学校時代にハードカバーで出版された、アウトドア世界における伝説の名著である。

まずは目次をパラリとめくろう。

目次


  犬の種類 / どのような犬を選ぶべきか / 仔犬の選び方 / 犬に
  近づく時の注意 / 犬に襲われた時の対処方法 / 犬への餌のあげ
  方 / 犬のベーシック訓練方法 / 犬用のムチはしの竹がベスト /
  犬を飼うコツ / 犬の尾を切るのは / 愛犬が骨折したときの対処
  方法 / 犬の病気の予防方法 / 犬についたダニの駆除方法 / 愛犬
  を車酔いさせない方法

キャンプ
  寝袋とテント / テントの張り方 / テントを張ってはならない場
  所 / バックパッキング / キャンプの必需品 / キャンプの知恵


  焚火のテクニック / 最もやさしい焚火おこしの方法 / ガソリン
  無しの雨の中での焚火おこし / 雪の中での焚火 / カマド / 焚火
  の跡始末の方法 / ライターとマッチ / ガソリンの利用方法

料理
  ごはんの炊き方 / ナベコーヒー / 垂涎肉料理の作り方 / スモー
  クの作り方 / 鹿肉のスモークの作り方 / 西洋風・魚のバラシ方
   / 魚のウロコの取り方 / 美味魚料理の作り方

結び
  ベーシック・ノット / 人がおぼれた時のロープ利用法 / 脱出用
  ノットの結び方 / ロープと棒ではしごを作る方法 / ロープの仕
  舞い方

ウェア
  クロージングT・P・O / ウェア選びのチェックポイント


  靴屋での靴の選び方 / 靴の種類 / 靴のおろし方 / 野外で靴を乾
  かす / 靴の手入れ

サングラス
  サングラスのセレクト方法 / サングラスの色 / シューティング
  ・グラスの改良方法

双眼鏡
  双眼鏡の選び方 / 双眼鏡のデータを知る / 目的別双眼鏡の選
  び方 / 双眼鏡の使い方 / ホールドの仕方 / 双眼鏡の手入れと
  保存方法 / 野での使用方法

外国製品を買う
  カタログの取り寄せ方 / 商品の選び方

コンパスと地図
  コンパスと地図の使い方 / 道のないところを迷わないで歩く
  方法

山の植物
  ウルシの見分け方と対処方法 / ヤマイモの発見方法と掘り方

ナイフ
  ナイフの選び方 / ナイフ・セレクトのチェック事項 / フォール
  ディング・ナイフの開き方と閉じ方 / ロック装置付ナイフの閉
  じ方 / ナイフの研ぎ方と道具 / ナイフ・シャープニング /
  主なナイフ・メーカーの刃の角度 / ナイフと法律 / 肥後の守
  の使い方


  斧の使い方 / 斧の研ぎ方 / 斧の種類 / 斧取り扱い上の注意
  4ヶ条 / ナタには右利き用と左利き用がある

工具
  工具の使い方 / ドライバーの選び方 / 使い方 /

メンテナンス
  金属のメンテナンス / チェーンのメンテナンス / 金属の錆落とし
  と対処方法 / 防水メンテナンス / ダウン製品のメンテナンス

男の行動術
  丸木橋の渡り方 / 崖登り、金網登り、木登り / 塀の登り方・降
  り方、塀の上の歩き方 / 鉄条網のくぐりかた / 川の渡り方

スイミング&ダイビング
  海とプールの違い / 泳ぎ疲れた時の休み方 / 足がつった時の
  直し方 / 3点セットの選び方、使い方 / スキン・ダイビング
  のテクニック

ボート
  手こぎボートのノウハウ / 1本のオールでボートをこぐ /
  風と波への対処方法 / ボートをもやう方法 / アンカー(錨)
  の作り方 / アンカーの打ち方 / ボート・マンの知恵 / ボート
  は右側通行 / 船外エンジンの取り付け方 / 船外エンジンの始
  動方法 / ゴムボートの修理方法とメンテナンス / ボート操縦
  7ヶ条 / モーターボートの免許取得方法

4輪駆動車
  4WDの種類と選び方 / 4WDでの登り方 / 4WDで川を渡る
  テクニック / 砂地を走るテクニック / 方向転回の仕方 / 横転
  した時の対処方法 / 4WD・ウィンター・ドライビング・テクニ
  ック / 4WDに積む道具


  馬のサイン / 馬の乗り方 / 馬のつなぎ方 / 馬に噛まれた時の
  対処方法 / 馬に踏まれた時の対処方法 / 馬に対する注意7ヶ条

カモフラージュ
  カモフラージュ学 / カモ・ペインティングの方法 / メーキャップ
  ・クリームの作り方

野鳥
  代表的な野鳥と鳴き方 / ガンと鴨の見分け方 / トンビとタカ
  の見分け方 / キジ笛の作り方と呼び寄せ方 / エゾ雷鳥笛の作り
  方と呼び寄せ方 / カラスの言葉 / バード・ウォッチング注意5
  ヶ条 / 庭に小鳥を寄せる方法 / 野鳥の餌付け方法

野生動物
  野生動物を見るには早朝と夕方 / 動く時は自然とともに / 人
  の匂いは上にいく / 雪の中のウサギの見つけ方 / 野生動物の
  足跡 / 足跡の保存方法 / ライトにおける動物の目 / 野生動物
  に対する注意7ヶ条

遊び
  パチンコの撃ち方 / 吹き矢の作り方

アーチェリー
  弓の引き方 / 狙い方 / レリース / アーチェリーの種類 / 弓
  の強さとは / 矢尻の種類 / アーチェリー競技

ガン
  ショットガンとは / ショットガンの構え方 / 鳥への銃のスイ
  ング方法と狙い方 / クレー射撃とは / エアー・ライフルとは
   / 銃の型式 / 銃の狙い方 / 引金の引き方 / ライフル・スコ
  ープとは / マスター・アイ / ライフルとは / ライフルの構え
  方 / 銃の所持許可取得方法 / ハンティング・ライセンス取得
  方法 / ガン取り扱い7ヶ条 / マグナムとは / ピストルの構え
  方 / モデルガンは改造・改良ともに禁止

ハンティング
  動物の急所と狙い方 / 日本のハンティング・ゲーム / ゲームの
  記録 / ディコィとは。ディコィの並べ方 / ディコィ・コレクシ
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ワナ
  ワナ掛け注意7ヶ条 / 甲種狩猟免許 / トラップのセットの仕方
   / 狐のトラップの掛け方 / うさぎ用ククリワナの掛け方 / 鳥
  を生け捕るワナ / スネアとトラップの違い / 鹿のワナの掛け方


  加工による皮の違い / 皮の種類 / 良い牛皮製品の選び方 / 保革
  方法 / 皮にカビが生えた場合の対処方法 / 皮を手縫いする方法

動物の解体
  動物の毛皮のはぎ方 / 鳥の羽の抜き方とバラシ方

フィッシング
  フィッシングのテクニック / 息子を釣りに行かせる前の教え /
  釣餌の見つけ方、つけ方 / ルアー・キャスティングの方法 /
  リールのドラッグの調整方法 / 少年たちとルアーおよびフライ
  ・フィッシング / ルアーを動かすテクニック / 覚えておくと
  得をするテクニック / バック・ラッシュの直し方 / 魚を釣った
  後のテクニック

ファースト・エイドの知識
  骨折対処方法 / 凍傷にかからない方法 / 縫わないですます方法
   / 刺さった釣鈎の抜き方 / テーピング / ファースト・エイド
  ・パックの作り方 / ファースト・エイド・パックの仕舞い方 /
  人工呼吸法と / ヘビに噛まれた時

サバイバル
  サバイバル学 / 道に迷った時の対処方法 / サバイバル・ノウ
  ハウ / シェルターの作り方 / 氷を破って落ちた時の対処方法
   / 食糧調達の方法 / 子供たちをハイキングに行かせる時の用意
   / 星で北を知る / 緊急信号 / サバイバル7ヶ条

地球にやさしくおしゃれなアウトドアが横溢する平成中期。年に一回ダッチオーブンを持ち出し、ポータブルコンロに仕掛けて「わいるど」な料理さえ作ればアウトドアマンとして周囲の人気者になれる昨今(ただし、イケメンに限る)。

キャンプなどお受験ストレスのカンフル剤にしか受け止められない今時。この本は、奥様お父様からすれば卒倒しかねない内容。

犬を共に連れ銃を携え、山野を跋渉するケダモノ野郎の生き様を、これでもかこれでもかと書き綴った昭和後期の名著である。

そのかみ、本屋でバタくさく西洋かぶれした表紙に気を取られた私はページをパラリとめくり、感動した。対して運動神経もよくなくアウトドアを満喫できる環境に属していないながら、コーフンして読みまくっていた。ファミコン全盛期の小学生らしからぬ程度ではないか。

さて、この本にて私は、西洋斧の知識を学んだ。

柄の曲がりが官能的な西洋斧には、それぞれ種類がある。

一般的な西洋斧を「ポール」

軽量で柄が長い西洋斧を「ハドソン・ベイ」

薪割り用の、刃が厚く柄が直線的な斧は「マウル」

大木は「受け」を切り込み、反対側の少し上から「追い」を切り込んで倒す。切り口が水平ではなく、台に立てられない薪は丸太に立てかけて斧を入れる。

簡素で解りやすい文体と、簡潔でキレのあるイラスト。重さが2.5キロもある両刃斧は「左右の藪を切り払うのに使う」との説明は?だったが、斧マニアとしての入門書として最良といえよう。

惜しむらくは、私が記載内容を活用できる環境を、いまだに手にしていないことか。

2009年3月 9日 (月)

ダリウス・キンゼイ写真集『森へ』

かつては文字通り千古斧を知らぬ大密林が繁茂していた北米大陸。ニレやナラ、モミや米松は芽生えるや獣の爪とたまの暴風、山火事以外に敵を知らず、豊富な陽光を享受して天を目指した。

木は芽生えればほぼ間違いなく巨木へと成長する。特に雨に恵まれた太平洋岸の北部では、木々は想像を絶する大きさに成長する。高さ100メートル以上にまで育ったセコイアは有名だが、ダグラスファー、米松、米杉、米栂の「北米材」と呼ばれる樹木も大きさでは引けをとらない。高さは80メートル、直径は4メートル。

先住民の石斧では到底手に余る森の王者。手をつけられることもなく、順調に雨を受け風にさらされ陽光を浴び、雪を纏って年輪を重ねてゆくはずであった。

しかし時代は流れ、東海岸から大平原地帯を席捲した白色人種。手足が長く筋肉が発達した大男たちが「モクザイガイシャ」の僕として、森に侵入し始める。石斧の数倍もの破壊力を持った森の処刑道具、二人挽きの大鋸と両刃の大斧を携えて。

E10015b  千年を生きた木でも、身を守る術を持たない。逃げる脚を持たない。

経験豊かな木こりは大木の枝振りと四方の地形を判断するや、深々と斧を打ち込み、傷口に長大な板を差し込む。

差し込まれた板は「足場」だ。身軽に飛び乗り、長大な鋸で一気に幹の半分ほどを伐りこむ。

切り終えたならば、切り口の上部を斧でそぎ落とす。リズミカルなこだまとともに木の命が、むなしい木っ端屑と化して飛び散っていく。まさにこだまは「木霊」だ。

E10017b 生木が切り裂かれ、緑がむせ返る森の中にヤニの香りが充満する。

木の片側に開いた大きな傷口。これを「受け口」という。この方向に木を倒すべく、経験豊かな木こりは計算するのだ。

確実に木が倒れ、なおかつ倒れた木を「商品」として傷つけない状態の「受け口」が完成したと判断できたならば木の反対側に周り、「追い口」を作る。

受け口の反対側の少し上側から一気に鋸で切り込む。斧は使わない。この反対側に、木は倒れるのだ。

二人がかりで息を合わせて引く鋸がシャリシャリと木に食い込み木の命がおがくずと化して零れ落ちる。

やがて先ほど作った「受け口」の最深部に「追い口」が重なるまで切り進んだあたり。

木がパリパリと小さな軋み声を上げ始める。音は次第にギィィィイィイと大きく響き、木は自重で何とか体勢と保つべく、寿命に執着するがことく呻く。

このままでも、いずれは倒れるだろう。しかし作業の安全と効率を量る木こりは受け口の鋸の刻み目に楔を何本も打ち込む。木の処刑人が下す最期の審判だ。

受け口と追い口の狭間は絶叫を上げて裂け、樹高80mもの巨木は梢を揺らし、何本もの若木を巻き添えにして、自身が最初に芽生えた大地に臥す。

E10004b

木は命を終え、人間達の手で枝を落とされ皮をはがれ、適当な大きさに寸断されてワイヤーで吊られ、馬力や水力で運び出される。

こうして森を出でた大木は、幾千万もの砕片に分断され、それぞれを手にした人間の手で、卒業後の出世街道、転落人生の如くあらゆる用途に用いられる。

金持ちの豪邸として、家具材として招待客の賞賛を浴び、家族に団欒の場をかもし出す。

あるいは屋根のこけら板として霧に朽ち果て、暖炉で灰と化す。

Darius219世紀終わり、アメリカ西部の深い森林地帯に生まれた写真家・ダリウス・キンゼイは妻のタビサとともに、ワシントン州スカギット山系の大森林や、そこで働く木こりをモチーフ5000点にあまる作品を残した。

コンパクトデジカメは夢のまた夢、写真機が肩に担ぎ揚げる大荷物だった時代。フィルムは重くて割れやすいガラス乾板だった時代のことだ。それを人跡未踏の森林地帯まで運び込み、不安定な地面や樹上に運び込んで撮影する。

もとより肉体面では恵まれなかったというダリウス・キンゼイ。森へ機材を運びいれ、荒くれ者の大男に願っていくばくか作業を中断してもらい、ポーズを何分も続けてもらったのちにシャッターを切る。

木こりたちが日常こなす重労働とは雲泥の差。しかし相当なる困難が伴う写真家であったことは想像に難くない。

1940年、日米開戦の前年に不慮の事故でなくなったキンゼイの作品群はそのまま死蔵されるにまかせられたが、1970年に再発見されて1975年、手始めにアメリカにおいて写真集として出版された。

日本版が発行されたのは、1982年。すでに絶版となり、アマゾンでも入手はむつかしいようだ。しかし大きな図書館にはたまに収蔵されていることもあり、ハードカバーのA3番で木こりと大木の格闘を堪能できる。

Aboc7「森へ ダリウス・キンゼイ写真集」
 (1984.2.1、株式会社アボック社出版局)\17,000

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